音を聴いているはずなのに、なぜか絵を見ているような錯覚が起こる。そんな叙情マジックが魅力のオトナモード。
バンドができたのは、ヴォーカル&アコースティックギター担当の高橋啓太がきっかけだ。高校時代から弾き語りをしていた彼は、入学した音楽学校の廊下で、優し気で話を聞いてくれそうな顔をした人たちにドキドキしながら声を掛けた。「一緒にバンドをやりませんか」と。
なぜ、“優しそうな顔”の人でなければならなかったのか?
「表現したいイメージはあるんです。でも、それを音楽的な用語で伝える術を、僕はまるで知らなかったので……」
たとえば『車窓』という曲を作る時の話。メンバーの証言。まずはドラムの小野田尚史、いわく、
「ドラムで、ガッタンガッタンと電車が走る様子を出してくれ、と言われました(笑)」
ベースの林陽介、いわく、
「車両の重みを要求された(笑)」
ギターの伊原真一、いわく、
「高さを出せ、と。高さって?(笑)」
キーボードの山本健太、いわく、
「のどかな風景を、と…?(笑)」
そういうコミュニケーションが取れそうな人間を、啓太は求めていたのだった。こんなふうに作られていくのが、唯一無二のオトナモード・サウンドの特徴。おそらく…こんな楽曲の作り方をしているバンドは他にない!?
「啓太は、その楽器じゃできないことを注文する(笑)。でも“ドラムはドンとパンがあって、リズムを安定させる役割“と思っていた自分の考えは、根本から覆されましたよね」(drums小野田)
啓太が音楽を始めた理由は、
「詞と曲を脚本にたとえると、言葉を使って“あの人と、あの場所で”と作っていくドラマに感動したんです。カメラアングルがあって、記憶、色、風、光、温度、を表現できるのって音楽ならでは。『なんか』という漠然とした感じを表現できるというか…そして出来た音楽が、聴く人の居場所になるんです。それが、音楽の面白さで素晴らしさだと思うんですよ」

ひとり音楽研究に明け暮れる生活を送っていた頃に「自分自身、音楽を聴いて救われたことがある」という彼は、仲間を見つけた。そしていつしか「僕が投げかけたら、想像を越えたものがメンバーから返ってくるチーム」となり、ついにメジャーデビューが決定。
旅立ちの前に啓太は決意をした。
「新しいステージに立つ前に、インディーズで出したアルバムを順番に、客観的に聴いてみたんです。そしたら、関わってくれた人たちの顔が浮かんだ。あっちの意見もこっちの意見もあったけど、どれも自分たちを愛してくれた人の意見だったなと思いました。大事なことはふたつ。なぜ自分がそれを始めたか? 愛のある人と何かをしているか? このふたつがあれば、あとは大丈夫なんですよ。晴れ晴れした気持ちになれる。よしっ、オトナモードというチーム戦をやって、誰かの居場所になろう!と」
音魂LIVEでは「圧倒的なナマの感覚でコミュニケーションをしたい」という啓太。彼らのステージには一陣の風が吹き、キミの瞼の裏には啓太の描いた風景が見えるはずだ!
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